後継者育成の課題とは

近年、後継者がいないために黒字で廃業する中小企業が問題になっています。日頃、後継者育成や経営支援をさせていただくなかで、私が感じている課題が大きく3つあります。

ひとつは「志の確立」です。
何をするにしても成功するための最大の要因は「熱意」です。何としてでも成し遂げるという意思、覚悟がなければ経営者は務まりません。そこで、「立志の構造」をベースにしながら、職業観や社会、時代認識、そして自社の役割について考えていただきます。それを明文化したものが、「わが社の使命」となります。

課題のふたつめは、「マネジメントの実践」です。
経営管理、事業管理、業績管理、組織管理、現場管理など、しっかりしたマネジメントの仕組みをつくり、段階的に経験を積ませることが、実践を通した後継者育成となります。中小企業には、このような仕組みが確立されていないところも多いので、そのような場合には、まずは仕組みづくりからお手伝いすることになります。

大きな課題の最後は、「人間学」です。
帝王学と言う方もありますが、私は、ひとりの人間として自分を成長させることが大切だと感じていますので、古典をベースに学んでいただきます。『学は、通のために非ざるなり』と言うように、しっかりした自分をつくることが学問の目的です。

これらの要素を考えると、やはりそれなりの年月が必要となります。もし、事業承継をしようとお考えでしたら、長期的な視点で後継者候補の育成に取り組まれることをおすすめします。