【後継者の3つの役割】
中小企業の事業承継が大きな問題となっていますが、私が次世代リーダー育成のお手伝いをするときに、まず後継者の方には3つの役割があることをお伝えしています。
1.先代の思い・わが社の歴史・経営資産を引き継ぐ
企業を継承するということの基本は、経営理念を引き継ぐことです。先代は、どのような思いで、何を目指して企業経営をしてきたのかをしっかりと理解することが何より大切です。
また、企業経営も人生も同じですが、なにごともなく順調にいくというのはあまりありません。様々な苦労を重ねて現在があるのです。何にチャレンジしてきたのか、どのような問題に取り組んできたのかを知ることで、自社の理解を深めることができます。さらに、お世話になった方、指導していただける方、叱っていただける方などの人脈資産や、築いてきた強みなどをきちんと整理しておきたいものです。
2.経営者としての役割を引き継ぐ
「社長」には誰でもなれますが、「経営者」になるのは努力が必要です。経営者とは、経営業務の担当者ですから、まずは、わが社の経営業務を洗い出し、どこまで理解、実践できているのかを確認しなければなりません。そして理解が不十分な役割について、習得計画を立て、着実に経営実務を身に着けていきます。
3.次の時代を創造する
そして最も大切な役割が、新しい時代の創造です。そのためには、リーダーには大いなる熱意が求められます。そこで私は、後継者の方の志がどこにあるのかを考えていただいています。すぐに答えが出ないこともありますが、創業の精神や時代の変化、わが社の強みや特徴などを共に考える中で、少しずつ志を固めていくお手伝いをします。志、使命感、そしてビジョンが定まることで、次の世代の経営がスタートするのです。