【リーダーのための人間学】
『橋本左内』
先日、福井にある企業向けの研修について打合せをしていたとき、
年配の方から「左内の話をすると喜ぶのでは」という発言がありました。
それを聞いて、良い会に参加させていただいたと思いました。
私も多くの研修や大学での講義などで、橋本左内の『啓発録』を
紹介してきました。
お読みになった方も多いと思いますが、「啓発録」そのものは
わずか数ページで、これだけでは本にならないので、
「書簡」や「意見書」などが掲載してあります。
「啓発録」には、去稚心、振気、立志、勉学、択交友の5項目が
書かれていますが、立志という項目に、次のような一節があります。
凡(およ)そ志と申すは、書物にて大いに発明いたし候か、
或(ある)いは師友の講究に依(よ)り候か、
或いは自分艱難憂苦に迫り候か、
或いは奮発激励致し候かの処より立ち定まり候者にて、
平生安楽無事に致し居り、心のたるみ居り候時に立つ事はなし。
志なき者は、魂なき虫に同じ。
最後の一行は、なかなか厳しい表現ですね。
この文章は、左内が数えの十五歳のときに、自分を発憤させ、
学問を確立させるために書いたものです。
このような姿勢で生きていたからこそ、
あれだけの人生を送れたのだと思います。
また、西郷隆盛にも大きな影響を与えたのでしょう。
私も研修で福井を訪れたときに、「左内公園」に行きました。
わずか26歳でこの世を去った左内ですが、
現在でも福井の方は「左内先生」と呼ばれ、郷土の偉人として
誇りにされているようです。
まだの方には、ぜひお勧めしたい本の一冊です。